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縄文土器の変遷 その2

縄文時代は土器の様式により草創期・早期・前期・中期・後期・晩期に区分されています。
前回の「縄文土器の変遷 その1 [1]
では縄文初期である「草創期」のまだ文様のない時代の土器「隆起線文土器以前」を扱いました。
今回は「草創期」の終わり頃の土器「隆起線文土器」の生活様式に迫って見たいと思います。(この投稿は主に 比較文化史 [2] というサイトから引用させて頂きました。)
 
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■ 文 様 の 原 点 (縄文心象 [5]より)
『文様は装飾のために機能し、同時に集団としての共通理念や価値基準を表現し、確認する機能を本来持っている。』
集団内に共通理念があれば共通の文様が存在するというわけである。
共通理念とは生活の中でどのような事を価値あるものとして認めるかという事であり、わかりやすく言えば「価値観・生活観」だ。それを支えているもの。その形を抽象化して表現したものが文様の出発点だ。

■ 縄文時代 草創期(比較文化史より)
・隆起線文土器文化期
隆起線文土器は、九州の南端鹿児島から東北の青森まで、幅広く分布する。ゆるやかなひとつの文化圏が日本列島に成立した時代である。隆起線文土器のなかに縄文を施す例が出現するようになったのです。この分布は中部地方から東北南部に及び、縄文の起源がこの地域にあることを示す。いずれにしろ、隆起線文土器の登場によって、同一の価値観をもったゆるやかな文化圏が成立したものと見なす事が出来る。
 旧石器時代では細石器が出土するころに太陽を信仰するようになり、やがて星を観察するようになる。星や太陽を連続体としてとらえるようになり、運行、つまり動きとして考えるようになる。太陽は東から昇り、西に沈む。一方、星は、北を中心に回転することが知られるようになり、これが合成されて立体空間として世界を把握するようになる。
 自然環境ということでは日本列島は北半球にあり、大気循環の関係で、雲は西から東に流れる。ちょうど太陽の動きと反対になる。このことから、太陽と雲が対構造として理解されていくようになっていく。
・螺旋と縄文の登場
多重化された世界をひとつに結びつけるのが螺旋説だが、このことが縄文土器の標準ともいえる〝縄文〟を生む原因となったのです。
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 縄文にはいくつかの方法があるが、直感的にわかるのは棒に縄をまきつけたものだろう。おもしろいことに、螺旋状隆起線文土器をつくっているのは九州であり、トンネル説を表現しつつ縄文という文様を成立させたのは東日本なのである。このことから、ほぼおなじような価値観を持ちつつ、微妙な考えの違いがあることが伺える。
 もうひとつ興味深いのは、縄文時代は全期間を通じてだいたい輪積み法によって土器がつくられることで、文様の方は螺旋説を表現する。あたらしく螺旋説が登場したのだから、螺旋法に移行してもよさそうなものだが、そうしない。輪積み法で世界の多重性を表現しながら、螺旋法によって世界のつながりかたを教える。ふるくても意味のないものとして切り捨てるようなことしていないのである。双極の世界観では、あたりまえのことなのかも知れない。
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  (図解・日本の人類遺跡 57p 東京大学出版会より一部加工)
 仮にそうであるならば、空間と時間を別なものとして認識している可能性がある。輪積み法により、多重化された空間を表現しているのなら、あたらしい螺旋法に移行するようなことはおきない。縄文(螺旋)は時間表現であって、空間表現ではないからである。別のいい方をすれば、ここで空間と時間が分離したということである。
 逆にいうなら、これ以前は世界を混然ととらえていたことを意味する。世界が、空間と時間とに分離して、違うものとして理解されるようになる。この原因のひとつが前述した ように、順(シーケンス)の発見にあることは間違いないだろう。数を数えることや物語りには、時間の経過が必要だからである。
もちろん、ここでいう空間や時間の概念は、現代とは違う。定義が異なる。だが、これらのことばをつかわない限り、表現の方法がないのも事実である。
 まとめると、
 ① 旧石器時代あるいはそれ以前に、ことばの発見と火の発明を
    おこなっていて、原初的な時間の観念が成立する。
 ② 太陽信仰することで、順の発見や連続体としてものごとを
    とらえるようになる。
 ③ 現象を時間の変化(AとBの繰り返し)と理解するようになる。
といったプロセスが存在するようだ。

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