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縄文土器に挑戦!No.2

今年の初めに 縄文土器に挑戦!No.1 [1] で投稿したように土器を作ってみようと思ってからずいぶん
時間がたってしまいました。
色々調べていくと自然の全くないこの東京という場所では結構困難なことがわかってきました。
肝心な土が無いのです。土器を焼く時の重要な問題として 粘土の質と焼成温度 があります。
粘土ならおおよそどんなものでも使用できるようですが、その土にあった焼成温度を見つけるのが
難しく、探し出すのに試し焼きの繰り返しが必要なようです。
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 【手前(右)が白山の土、奥(左)が半々で信楽土+白山土】
この間、横浜市緑区の白山高校の近くの建設現場に行ったときに偶然に粘土が見つかり、持ち帰り
ました。そして陶芸教室の先生に相談してみると、先生も自宅近所の土を焼いたりして見たそうです
が、溶けてしまったり、ひび割れたりしてなかなか旨く焼けなかったようです。
色々試して焼成温度を決めていくしかないようです。
白山の土を教室の窯で“試し焼き”して貰えることになり、写真のように仕上がりました。
先生も驚いていましたが、一回でこんなに綺麗に仕上がるのはごく希なことのようです。
試し焼きが成功した事をこのブログの仲間に話しているとみんなで作ってみよう。
どうせなら力強い火炎土器を作りたい、とみんなの意見が一致しました。
と言うことで、「縄文土器に挑戦!」を進めていきたいと思います。
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■縄文土器の制作心得“縄文人の見ていた世界” 縄文心象 [4]より抜粋します。

・文様一つが一つの意味を表すだけではない、配置や組み合わせによって複数の意味を持つ。
武居幸重はさらに言葉をつづける。
「縄文人は限られた面積の土器表面に、複数の意味を表す文様を配置しながら美的バランスをとる
優れた技術と知性を持っていた。」
・心象とは
文様はどのようにして誕生したのだろう。哲学者であり心理学者であるG・Hリュケは原始絵画と
現代の子どもの絵を比較研究してこう述べている。
・『この子どもは眼に見える馬鈴薯の葉っぱを描かず、眼に見えないものを描いている。
土中に埋もれている球根、客観的現実ではなく抽象的観念、畑をとりまく境界線などを描いている。』
『目の前にある実際の対象やあまり見たことのないものを再現しないで、むしろ心の中で見る対象、
すなわち内的なイメージをあらわしている。』
・縄文人はただ眼に見える物を再現するのではなく、心にうかんでいる像を文様に再現するのである。
・実物の特徴を表現し、イメージに代表させる。
『内的イメージは対象の可視的属性から自然的、心的にひとつの選択を行うことによって成立する。
われわれは心的な眼の存在、すなわち視覚にもたらされる諸要素からひとつの選択を行うことに
よって、一種の比喩を作る…』 
・子どもの絵と同じであるから幼稚ということではない。表現方法の一つなのだ。
このような手法を重ねて伝達・記録手段の究極の形として象形文字や文字が存在するのだ。

■心得は以上として具体的に縄文土器ってどうやってつくったのか?
縄文土器に挑戦!No.1でも紹介した、縄文土器の製作 [5]を参考にさせていただきました。

1 土器作りの順序
 1素地作り:粘土に砂を混ぜて練る。
 2成  形:粘土ひもを積み上げて土器の形を作る。少し乾かしてから内側を磨く。
 3文様付け:縄やヘラで土器の表面に文様を付ける。
 4乾  燥:日陰でゆっくり自然乾燥させる。
 5野 焼 き:薪(マキ)を使って焼き上げる。
2 土器作りにかかる時間は?
粘土に砂を混ぜる素地作りは、できれば成形をはじめる前日までに済ましておく。高さ30~40㎝の
土器を作る場合、成形と文様付けに4~6時間(高さ20㎝で約2~3時間)、乾燥に2週間、野焼きに
半日がおおよその目安。
3 どれくらいの粘土を用意すればよいか?高さ30~40㎝
の縄文土器1個で、粘土4~6㎏が目安。20㎝ぐらいのものなら2㎏あれば良い。
4 用意する道具は?成形:葉っぱ(板)、ぞうきん、水、
たこ糸文様付け:ヘラ、貝がら、笹竹をタテ半分にしたもの、縄など。
5  野焼きのマキの量はどれくらい?
マキの量は、焼き方が上手か下手かによってずいぶん変わるが、できるだけ少ない量でうまく焼く
のが縄文人のワザ。埋文センターでは30~40㎝の土器1個に約10㎏のマキを目安にしている。

■陶芸経験者より一言、、割れないようにするためのポイントをいくつか上げておきます。
○最も大事なのが粘土なので市販のものではない粘土を使う場合には砂や赤土なのの配分比率を
 変えて事前にテストしないとうまくいきません。
○形を作る前に最初に良く練って空気を抜いておくこと。
○乾燥段階で収縮して割れないようにするため粘土には多少砂を混ぜておくこと。
○粘土を積み上げ形を作る時に空気が入らないように粘土同士としっかりくっつけて丁寧に作ること。
 (空気が入っていると膨張して割れてしまう。)
○陰干しで1ヶ月以上乾燥させて完全に水分を抜くこと。
○焼く時には事前に空焼きをして地面の水分を抜いておくこと。
○いきなり焼き上げずに火から遠ざけて少しあぶって完全に水分を抜くこと。
○いきなり火力を上げると割れてしまうので徐々に火勢をあげていくこと。
こんなところでしょうか。

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