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仮説:マヤ社会の成立と滅亡

マヤ社会は私権闘争の結果築かれたものなのか?
現段階の仮答えは、否です。
マヤ文字をひもときながら最新の仮説を提起します。 by tamura
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このテーマは、ブログ記事5/17「マヤの統合軸は私権による統合だったのか?」から、いくつかの事実が出てきていますのでここで整理したいと思います。
●国家間の戦争は、勝者の優位性が共認されて決着がついた
5/30「マヤの国家間闘争」
●分家による拡大とその限界(謀反)
6/1「マヤ文明、国内のお家騒動」
●マヤ王族は父系長子相続が基本
6/3「マヤの婚姻制度」
このようにマヤには戦争や父系制といった旧大陸の私権社会文明と同様の現象が見られるのですが、掠奪のように集団や集団の共認を根こそぎ破壊するような現象は見られません。 
むしろ、戦争であってもその共認内容を勝者と敗者の双方が受け入れて石碑に記録して大切に後世に伝えようとしています。
単位集団の規模をはるかに超えたマヤ社会統合には、序列関係と、婚姻による同盟関係が使われていますが、通常狭い範囲でしか通用しないこれらの関係を、マヤでは「文字」を使う事によって固定し、長期間かつ広範囲にわたって適用して活力と秩序を維持するように努めていたのだと思われます。
この視点でマヤ社会の発生から滅亡までの仮説をスケッチしてみます。
1.自然外圧の低下→人口増によって集団間の同類緊張圧力が高まった。
1万年以上前にアメリカ大陸に渡った人類は旧大陸同様に既に獲物を狩る武器をもっており、あっという間に南米の先端までその活動範囲を広げている。当然、食料を得やすい地域では人口が増加し、集団同士は近接して緊張状態だったに違いない。 また気候変動によって獲物となる動物がいなくなった地域も発生したと考えられる。
2.農業生産力と武力に優れた部族(父系)の登場⇒周辺部族の統合
マヤ地域では長い期間をかけてトウモロコシの品種改良が行われ、主食となっていった。
また、マヤ国家の統合の原型として、一部の王族(後に階級化)と、大半の農民という2層構造がある。(記録は残っていないが農民は氏族内婚だったと思われる)
さらに、マヤ諸国の王族は全て父系長子相続を基本とし、トウモロコシの祭祀を重視している事から、(日本の天皇家と同様に)農業生産力と武力に優れた部族が現れて、小競り合いを続ける周辺部族を統合していったと考えられる。
(この部族がマヤで現れたのかそれとも他の地域から到来したのかはわからないが、後の史実から考えるとメキシコ地方から来た可能性もある。)
3.王族の分家→諸国(諸センター)の群立 
マヤ王族の相続は、子・兄弟・(稀に妻や娘)に対して行われ、概ねその順番が決まっている。また、一夫多妻(集中婚の名残か?)であった事から、相続に値する者が複数いた事になる。 階層的な統合様式を持たない王族は分派によって拡散して支配地域をマヤ地域全域に広げていったと考えられる。これは、マヤ諸国が王族共通の文字を持ち、ほぼ共通の祭祀を行っていた事、2つの国が同じ王家の紋章を使っていた事例がある事から十分考えられることである。
4.国家間の覇権闘争→小競り合い首従関係と、婚姻による同盟関係による秩序化
マヤでは、西暦400年ごろから諸国が興隆し、諸国間の戦いが行われるようになる。
戦いの多くは、相手国の王や王族を捕らえて辱める事で勝敗が決したらしく、負けた国(王族)は急激に活動を低下させるか、または、勝った国(王族)と首従関係を構築している。娘を他国の王族に嫁がせることで同盟関係を築く事もよく見られる。
これらの事例から、絶えざる覇権闘争を序列関係と婚姻によって秩序化して安定を図ろうとしていた事がわかる。
5.文字による統合(秩序)の維持とその限界
首従関係と婚姻による同盟関係は何世代も続くものではない。そこでマヤ人は石碑に膨大なマヤ文字を刻む事を発明した。 マヤ文字は長い年月にわたる勝敗の記録が執拗に刻みつけられており、序列秩序を固定化する試みだったと思われる。
しかし、こうした秩序化への努力にもかかわらず何度も戦争が行われ続け、末期のコパンとキリグアの例に見られる「従者の反乱(謀反)」のような事件もある。
反乱を起こしたキリグアは、マヤ史上最大の巨大石碑を多量に刻んでいる。
1~5を通して言えるのは、
単位集団を超えたマヤ社会は、序列関係と、婚姻による同盟関係で秩序化されていた。
[序列関係:サル社会の活力と秩序の基本原理]
[婚姻による共認関係の強化:人類の集団原理]
これらは通常狭い範囲でしか機能しないが、マヤではこれらを「文字」を使う事によって固定し、長期間かつ広範囲にわたって適用し、活力と秩序を維持するように努めていたという事がわかる。
(→滅亡:しかし、それだけでは、集団を超えた社会統合秩序に永続性を持たせる事はできなかった)
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・・・・一体、何を話しているのでしょうか?・・・・・

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