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東アジア文明という見方

中国の歴史観は、日本から見れば、自国中心の見方に偏っている様に見えるが、お隣韓国から見ても同様に見えているらしい。一方で、韓国の歴史観も、自国中心という観点では似たような限界を抱えているらしいが、最近の古代中国史の研究成果からは、この狭い見方を乗り越えて、新しい東アジアの歴史観が浮かび上がってきた様だ。
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以下、東亜日報 [3]から引用。

中国の東北工程は、韓国史への歪曲した見方だけを認識させたのではない。これまで韓国が関心を寄せてこなかった東北アジアの古代史に関する新しい見方をも目覚めさせた。韓半島という狭い空間に縛られ、文献資料だけに依存していた実証史学の限界を飛び越え、歴史研究の地平を満洲、モンゴル、中央アジアに拡張し、考古学と神話研究の領域まで積極的に取り込んだ。
小説家の李炳注(イ・ビョンジュ)氏は、「太陽にさらせば歴史になり、月光に染まれば神話になる」と書いた。東北工程の反作用を通じて、韓国歴史の研究で皓々たる月明かりだけが漂っていた分野に燦爛たる日の光が注ぎ始めた。その具体的な兆しとして、4大歴史認識の転換を紹介する。

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●最古の文明は黄河文明ではない
四季出版社が最近出刊した『アトラス中国史』は、世界4大文明の一つを黄河文明や中国文明と呼ぶことの不当性を指摘する。黄河文明のほかに、揚子江流域の河姆渡(かぼと)文化遼河流域の新楽・紅山文化など、起源と系統の異なる文化が同時多発的に発展したためだ。そのため、これを「東アジア文明」と呼ぶことを提案する。
特に、新石器紅山文化は、石塚、琵琶型青銅剣、櫛形土器など、モンゴル、満洲、韓半島で発見された北東アジア文明の原型を有している。このような理由から、中国の学者たちは、遼河文明を「中華文明の起源」「世界最古の文明」と主張するが、国内学界では、神話で伝えられているだけの古朝鮮文明の実体に接近し始めた。
●蛮夷の再認識
中華史観の影響で朝鮮時代から蛮夷と見下されたモンゴル、満洲、日本を、東夷というより拡大した文明共同体として見始めた。これは過去、中原の漢族のほかの異民族を東夷、西戎、南蛮、北狄と差別化した中国が、徐々にこれらを中華文明の主役に変身させることに対抗する過程で、自然に成立した。
遼河文明論は、中華民族の起源を、△中原の華族、△東南沿海岸の夏族、△東北の黄帝族集団に三分する。ここで、東夷と北狄は、黄帝族の後裔に変身する。これに対抗して国内学界では、東夷族を遼河文明(古朝鮮)から出発した同一系統として見る必要性を提起する。
●中国史の解体
東夷族に対するこのような統合的な観点は、自ずと中国史の解体につながる。同じ東夷系列の契丹族が建てた遼、女真族が建てた金と清、モンゴル族が建てた元などの帝国の歴史をすべて中国史の範疇に入れる場合、高句麗と渤海の歴史の独自性を主張することと相反する。
これら東夷族の系統では、言語(アルタイ語系)と神話(卵生神話、熊崇拝、弓術神話)、文化(太陽崇拝、祭天文化、ソッテ文化、シャーマニズム、シルム文化)の特徴を共有する。愼鏞廈(シン・ヨンハ)梨花(イファ)学術院教授は、このような共通点を匈奴やウィグルなどの北戎はもとより、トルコ、ブルガリア、ハンガリー、フィンランド、エストニアにつながる「古朝鮮文明圏」に拡大して見ることを主張する。
●「忘れられた輪」夫餘の再発見
東北工程が韓国古代史全体を狙ったことが明らかになり、韓中歴史論争は徐々に高句麗史から夫餘史に移動している。愼鏞廈教授は、夫餘族の一部が、西方へはバルカン半島に、東方へは日本列島に移住した可能性を提起した。伝統文化学校の李ドハク教授は、高句麗と百済が始祖王として仕えた東明が、高句麗を建国した鄒牟(東明聖王)ではなく、夫餘の建国始祖の東明王である可能性を提起した。説話内容がほぼ同じという点で、同一系統の神話の後代合成の可能性が高いということだ。東洋大学の金ウンフェ教授は、夫餘の仇台王が南方へ移動して百済の古爾王になり、百済の近肖古王が日本に渡って応神天皇になった可能性が高いとし、これを大陸夫餘―半島夫餘―列島夫餘の成立過程と説明する。

後半に、「古朝鮮文明圏」という自国寄りの見方は残っているものの、東アジアの文化の起源が共通しており、その影響範囲が日本からヨーロッパにまで及ぶという説は、なかなかに興味深い。
言語、神話、文化の特徴が共通していることが、この根拠となっているらしく、どうやら紅山文化が鍵を握っている様だ。
ということで、次回は、紅山文化と同時代の縄文文化との接点について、調べてみます。ご期待下さい。

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