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土器は男性が作ったか、女性が作ったか?

土器は男が作ったか、女が作ったか?これはよく議論されるテーマです。
川崎 保氏の縄文「ムラ」の考古学にこのテーマについて書かれていた部分がありましたので紹介します。
まずはG・Pマードックの調査による現存する世界224の民族(1989)の
男女比生業表を以下に示します。
        男:女
danjohi-24.bmp
この比率を見れば、土器の製作は女性である可能性が高いと言えます。
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以下、川崎保氏の書籍より抜粋です。
土器つくりをした人の性別については縄文土器についた爪の跡や弥生土器についた手の痕跡の詳細さからも女性が製作した可能性が指摘されている。
「正倉院文書」「浄書所解(天保2年)」には女性が土師器の製作に従事し、男性が原料の土を採掘し、はこんでこね、薪を作り、藁を準備し、製品を運んだという記事が見える。
また、GPマードックの世界224の民族の様々な労働を男女どちらが行ったかを調査した結果によると土器つくりは女性のみが行われるか、女性が主体的に携わっている民族が全体の約80%を占める。またレビストロースは南米アンデスのユルカレ族、タカナ族、ヒバロ族等の様々な慣習の中で女性たちが土器つくりを行っている様子を神話を説明する過程で生き生きと描いている。「むかし、むかし蛇が年老いた夫婦を粘土のある場所へ導き、粘土と砂、あるいは炉床からとった石をあらかじめ砕いたものとまぜる方法を教えた。壺つくりは神聖な業であり、男は蛇を讃える儀礼を行い、宗教歌を歌う土器作りの女に近づいてはならなかった。」

台湾のヤミ族のように男性が土器つくりを行う例もないわけではない。1mを超えるような大型の土器の製作には女性には無理があるかもしれない。ただ、女性は居住域からあまり遠く離れられないという事情や、体力面では男性に劣る反面、持久力に優れているという身体的特性がある。土器作りを含めて、女性が居住域近隣で行える作業を分担するという傾向はごく自然な役割分担と言える。
カリンガ族の例では若い土器作り人は、年長者とともに土器つくりを経験することによって技術を習得するケースが多い。また土器つくりのグループは3~12人でこのグループは親族関係にある女性が中心となっているとされている。私は土器つくりは、近隣のムラの女性が集まり、繁忙期の一時期のみ専業で行ったであろうと考えている。

川崎氏の推測は多くの事例も交えており確かに頷ける部分は多い。しかしながらマードックの調査した現存の民族がいずれも狩猟民族である可能性が高く、(現存の採取民族は少ない)生産に従事できない女性が土器の役割を担っていった可能性は高い。
縄文時代は土器と同時に多くの土偶も作られており、それらが女性を表現していた事からして、土偶は男性である可能性が高い。土器と土偶を敢えて作り手を変えていたとはあまり思えない。また、土器の製作を神聖なる行事として巫女に相当する女性が担ったのはおそらく弥生時代か、縄文晩期であろうと思う。このような理由から私は土器は男性が作っていたのではないかと思う。
現在でも料理や手工芸を初め手が本当に器用なのは男性に多く、その傾向は8000年前の縄文時代であっても変わらないのではないか?また日本人が手の文化 [3]と呼ばれている所以に10000年間の縄文時代の蓄積は無視できない。
さて、土器製作は男でしょうか?女でしょうか?あなたの意見はいかに!

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