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森が育んだ日本の漁撈

つい先日起こった、新潟中越沖地震は、その直前に近くで起こった輪島沖・中越地震に続き、またかと思いましたね 😡
日本は太古から地震や台風などの災害が人々の生活を脅かしてきましたが、このように災害が多い日本の地理や地形だからこそ、世界に類をみないほど日本は豊かな資源に恵まれた国である、ということが縄文を勉強する中からだんだん分かってきました。
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当ブログの記事でbunchanが「東北日本の源流・ナラ林文化vs西南日本の源流・照葉樹林文化」 [1]

>堅果類(クリ・クルミ・トチ・ドングリ)、球根類(ウバユリなど)の採集。トナカイ、熊、鹿、海獣の狩猟。そして、川にのぼって来るサケ・マスの漁撈。これらの狩猟・採集文化により、一定の人口までは充分に生活出来たのである。日本の縄文文化は、主にナラ林文化の下で発展した。事実、縄文時代の遺跡群は圧倒的に東北日本に集中している。
森が育んだ豊かな縄文文化の様子を紹介しています。これまで木の実などの森の植物性の食料の豊かさは盛んに言われてきましたが、海の食料は貝塚に代表されるように貝類しか注目されてきまんでした。しかし、既に縄文時代から日本は世界一の漁撈生産が行なわれてきた ことが最近知られるようになってきてます。(単位容積当たりの魚類の生息量では、瀬戸内海は地中海のなんと25倍らしい)
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それらは、日本の特異な地理・地形が関係しています。以下「稀有の森の王国」 [4]より引用
>リアス式海岸とは、山地・丘陵地が海面に対して相対的に沈下した屈折の多い海岸のことだが、スペインの言葉でリア(Ria)とは川のことで、もともと川の流れ込む海というのが語源である。そうした海にそそぐ川での潮の干満によって真水と海水の交わる辺り、汽水地帯には、豊富な魚介類が発生する。
>たとえば地理的・地形的僥倖として、「森」という字が盛り上がった形を示すように、この地の大部分を占める峻嶮な山地は、そこに生える樹木の伐採を容易に許さなかったし、狩猟そのものを著しく困難なものにしてきた。先進国中最大の70%という森林のカヴァー率は、そのまま山岳地帯の占有比率と見事に重なり合う。
>日本の豊かな森山には多種類の動物・鳥類が生息する。森(が生んだ腐葉土)が濾過した栄養分に満ちた水は、泉となって涸れることなくこんこんと湧きだして小川となり、それがいくつも集まって川となる。日本中ではこうした大小無数の川が海に注ぐ。森の落ち葉はバクテリアによって分解されて川の植物プランクトンのエサとなり、植物プランクトンは動物プランクトンのエサになる。そこから発生する多彩な食物連鎖によって、マス(鱒)・サケ・ヤマメ・イワナ、それにアユ・コイ(鯉)・ウナギ(鰻)・ハゼ(鯊/沙魚)・フナ(鮒)など多くの魚が育つ。 
川が注ぎ込むことで淡水と海水の混じり合う汽水帶では、沢山の魚介類や海藻類が育つ。日本を取り巻く沿海部や内海では、イワシ(鰯)・アジ (鰺)タイ(鯛)・チヌ・カレイ(鰈)・ヒラメ(鮃)・カサゴ・スズキ(鱸)・サワラ(鰆)など、それに南からカツオ(鰹)・サンマ(秋刀魚)・マグロ(鮪)・ブリ(鰤)などの回遊魚、そして北にはサケ(鮭)・タラ(鱈)・ニシン(鰊)・カニ・イカなどが豊富に獲れる漁場がある。考えようでは、漁獲が狩猟だとすれば、貝や海藻類が採集に相当するとみることもできる。
 >われわれの先祖は、こうした環境風土の中で早くから定住し、狩猟→遊牧の民に襲われることなく、採集と漁撈を中心とした平和な生活を行い、情感に溢れたその資質をいかんなく伸ばしてきた。果たして世界中にこのように恵まれた国があったか。長らくこうした風土にあれば、「日本の常識 世界の非常識」と謂われる日本人のメンタリティが醸成され固定化していったとしても決して不思議ではない。
この豊かな食料状況の中で、縄文人の労働時間は3時間/日と言われていますが、現代人が考えるように暇を持て余して遊び暮れていた訳ではありません。
森に育まれた縄文人は、土器だけにとどまらず漆の採取から塗りの技術をはじめ、ヒスイの研磨や穴あけ、鹿の骨を使った釣り針や木製の容器などの製作に励み、現代の技術立国としての日本人に脈々と繋がる創造力に富んだ高度な先端技術の原型が既にこの時代にできていた とも考えられますね。
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世界で最も災害が多いといわれる日本が、その地理や地形の特異性から生まれた森が採取や漁撈を育み、そこから生まれた高い生産性が今の日本人を作ってきたと考えると、この太古から続く自然やそこで暮らしてきた人々に何か深い感謝の念がじわーっと湧いてきました 🙂
このように日本は豊かな食料生産基盤があるにも関わらず、現在は自給率が40%しかないのは、どこでどう道を誤ったのでしょうか?

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