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支配された民衆が求めた道教

Posted By nishipa On 2007年6月19日 @ 7:05 PM In Ⅴ中国文明 | 2 Comments

前投稿にて、父系転換に伴い、国家による民衆支配のために宗教が必要とされたことを紹介しましたが、では一方の支配されていた民衆の側はどうだったのでしょう?
●腐敗する国家と、疲弊する民衆
>東漢の終わり頃、自然の力よりさらに強大な社会的な力によって抑圧・搾取され苦しめられた民衆は、耐え難い苦難から逃れるために宗教を強く求めた。
>東漢の順帝以後、政治は腐敗し、宦官や外戚が権力をもてあそび、気風に節操はなくなっていた。桓霊の時代には、士族の名士や太学生が朝廷の政治を批評して宦官を糾弾し、党錮の獄[特定の党派の人々を弾圧したこと]が起こり、知識人を惨殺し、世論を弾圧した。朝廷は民衆の支持を失い、国家は大本から揺れ動いた。官僚は横暴になり田地を併合したので農民は土地を失った。日増しに難民は増え、災害が続き、経済は崩壊した。中国の家長制の農業社会の中でも、朝廷が冤罪事件を起こし、しばしば知識人を惨殺した。社会には厖大な難民の階層が出現し、盗賊や流賊が暴れ回り、さまざまな教派や秘密結社が競り合い伝播した。こうしたことは、往々にして国家が滅亡する前兆である。当時、「漢の世は衰えた」というのは一般的な認識で、人々は平和で豊かな新しい時代が訪れることを願っていた。
>漢末に社会不安が増すと、国家に従属していた儒教は人々の心をつなぎとめておけなくなり、この機運に応じて必然的に道教が生まれた。道教は儒教に代わって世を救い、帝王を助けて太平の世をつくるためのものだった。道教は、儒家の倫理教条の影響を受けて仙人に成るための必要条件を作成した。これは道教が儒教に取って代わったのではなく、宗法封建の秩序を守るために儒教を助けていたということである。道教は封建皇帝のための「第2の儒教」として機能したのである。
●なぜ道教が求められたのか?
>儒家の礼教は専制制度を論証し社会教化する行為規範であり、仏教は人々を脅し誘惑し麻痺させて奴隷を安心させる精神的な麻薬だった。
>三大世界宗教が霊魂の解脱を追及し、来世の利益を重視する。三大世界宗教は死後に天国という楽園で生活することを考え、冷淡な態度で社会の現実生活に対処する。
>道教は原始社会で自然発生した自然宗教と階級社会で作られた倫理宗教の結合体である。避けようのない死や災厄は、最初は自然の力によってもたらされたが、その後は封建社会の国家機関による社会の力によってもたらされた。だから、道教の神仙は死や災厄を克服し、逍遥自在であるが、それは自然を超えた力を神格化しているだけでなく社会を超えた力も神格化しているのである。道士は、自然の力や社会の力を超越し、理想の現世利益を獲得するために修練するのである。
>原始社会の歴史は階級社会の歴史より長い。母系氏族の原始宗教は、長い歴史の中で、女性崇拝の習慣風俗と思想という伝統を作り出し、それは長い年月を経ても伝統文化の中に残っていった。伝統は社会や民族の中で最も保守的な力であり、一朝一夕に形成されるものではない。しかし、いったん民族や社会の伝統となった文化要素(宗教信仰、思想観念、社会風俗、政治経験、生活習慣など)は、伝統の惰性のために、無理に放棄したり一刀両断に断ち切ったりすることはできない。母系氏族社会の原始宗教が伝統という染料を中国文化という大きな瓶の中に入れてしまった以上、その後いくら父権家長制という宗法礼教の男尊女卑の伝統が優勢になっても、やはり古代から蓄積してきた文化の中に女性崇拝の痕跡を見ることができるのである。現存している伝統文化は必然的に祖先の情報を含んでいるので、道家や道教文化の中に古代の母系氏族の原始宗教の痕跡が見られるとしても不思議ではない。
★ここに歴史を学ぶ意味がある。
儒教は父権家長制を支える序列規範に過ぎず、仏教は現実を麻痺させる麻薬に過ぎなかった。
それに対し道教は、父系制に転換するはるか以前より民衆の生活の中で自然発生した原始宗教であり、民衆のDNAに刻印された本源的な規範を色濃く残すものであったからであり、だからこそ民衆は道教に可能性を求めたのだろう。
現在の日本の置かれた状況も漢末と同じようなものだ。否、日本ばかりでなく人類的な危機を迎えた状況ではもっと深刻だろう。
今こそ歴史を学び、はるか太古の先人に学び、生かし伝えていく必要があります。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
もいちど、応援よろしくです。
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