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巨大噴火がひき起こした円筒土器文化

火焔土器が話題になっているようですね。
私には、あれは、とてつもなく大きな炎=火山噴火あるいは火砕流による大火災を表しているように見えてしかたありません。
そこで、縄文時代の火山噴火を調べてみました。
「変転する大地が生み出す新しい文化」 リンク [1] より引用させて頂きました
《引用開始》
三内丸山からの大量の土器発掘で明らかになった円筒土器文化は、縄文前期の中頃、突然現れ、東北地方北部から北海道南西部に広がった。津軽海峡による分断もものともしない広がりである。
円筒土器に先行してその地域に存在したのは、表館(おもてだて)式や早稲田6類、大木1式など、それぞれ互いに関連性をもちながらもまとまりのない土器群であり、どれも円筒土器へ直結するような形跡は認められていない。
円筒土器の不可解な出現は、長い間問題にされずにきたが、三内丸山遺跡の発見も一つのきっかけとなり、円筒土器と大木式土器が並存する岩手県を中心に、これまでに集積された考古学の資料が見直された。
その結果、最初の円筒土器である円筒下層a式土器が大木2a式土器の直後に現れること、二つの土器型式の間に十和田火山の巨大噴火による火山灰(十和田中せりテフラ)が挟まっていることが確かめられた(下図)。
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噴火によって広域におよんだ山林火災が、周囲の生態系を壊滅状態に追いやり人間社会に甚大な影響を与えたことは間違いない。一次生産者である植物に依存する動物社会にとってもその存続を脅かす大事件だったろう。いわば東北北部の広大な地域の生態系の構成員であるさまざまな生物の様相が災害で変化し、それが人間の暮らしに影響を与えていく状況が読み取れる興味深い事例である。
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三内丸山の例で述べたように、噴火は、自然の変化、自然と人間との関係など過去の暮らしを探る自然界の実験である。
そこで私は、日本列島で人類の居住が確認されているおよそ3万年前、後期旧石器時代以降の噴火に注目してきた。
なかでも突出しているのが九州地方の二つの巨大噴火である。
その一つ、約2万8千年前の地層に見られる姶良(あいら)Tn火山灰は、氷期の気候に起きた寒冷化に伴い植生が広葉樹林から針葉樹林へと変化しつつある時期に起きたものであり、日本列島全域に火山灰を降らせ、九州南部をシラス台地と化した。
噴火後は、針葉樹林化が一気に進んだことがわかる。
もう一つが、縄文前期の温暖な時期にあたる約7千5百年前、九州から関東地方にかけて照葉樹林が次第に拡大しつつあった時期に噴火した鬼界(きかい)アカホヤ火山灰である。
この巨大噴火は、衰退しつつあった落葉広葉樹林を消滅させ、カシ林など照葉樹林を一気に拡大させた。
二つの巨大噴火は、寒冷な時期と温暖な時期という対称的な傾向の中で発生し、共に変化を促進するきっかけになったのである。
私は、このような事実から、「巨大噴火が、生態系の平衡状態をかく乱し、長期的変動において衰退しつつあるものや増大しつつあるものの変化の方向性をいっそう促進する役割を果たしている。」という仮説を立てた。
衰えつつあるものにとってはかく乱は致命的であり、それが増大しつつあるものをより有利にするのだろうと思うのである。
 一瞬にして広域を襲う巨大噴火は、ゆっくりと変動する生態系の観測では捉えられない非日常的な現象を引き出す大変に有効な切り口になる。
時にそれが生態系の一員である人類が、生態系に内在する未知の生存戦略を見つけ出すきっかけとなるということも見えてきており、ここから、人間も含む自然界のすべてが関わり合って作っていく総合的な歴史を読みとって行けるだろうと思っている。《引用ここまで》
一瞬にして全てを焼き尽くす大噴火。
しかし、それで、全てが終わってしまうわけではない。
焼き尽くされた野原から、数年もすれば新たな生命が誕生してくる。
そのような巨大な炎に対する畏敬の念を、火焔土器は伝えているのではないでしょうか?

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