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古代中国が一妻多夫制だったって本当?

古代中国は母系制社会だったと言われていますが、それは「姓」に表れています。
サイト「中国的こころ」http://www.h3.dion.ne.jp/~china/ [1]に林雅子氏訳『中国姓氏考』が紹介されていますので、引用して紹介します。
>中国人の名前には、姓、氏、名、字、号があります。ひとりの人物が色々な名で呼ばれるのは、これらが複雑に絡み合っているからなのです。
へー、こんなにあるとは知らなかった!
>古代中国人の男性の名は、「姓」+「名」で構成されていました。姓とは何でしょうか。
姓とはいわゆる苗字ですが、『説文解字』には「姓は人の生まれる由来であり、女に従い生に従うという。故に姓(女+生)という」とあります。その姓の由来はトーテム崇拝であるといわれています。

トーテム崇拝って何?
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>トーテム (totem)とは、
アメリカンインディアン語で、オブジワ族の「ototemam」(親族)という言葉が語源で、一人の女性を祖先とし、たがいに通婚を禁止する兄弟姉妹間の親族関係をあらわしている。

一人の女性を祖先とすれば、当然母系制ですね。
さらに、同一の氏族内では婚姻ができない(近親婚のタブー)から、いわゆる族外婚になる。
>トーテム崇拝
生産力や文明のレベルが低い原始社会において、人々は自分達が動物、植物、無生物(石、高山)、自然現象(雷、稲妻)と親密で特殊な関係をもっていると考えていました。そしてこれらの「神物」が自分たちの祖先であると考え、自分たちの氏族はこのような神物から派生したと信じました。「神物」=姓です。細かく分類すると、(A)女性始祖が妊娠した原因を姓にする、(B)女性始祖の出産した場所を姓にする、に分かれます。

人物(族)  姓    タイプ     事柄
 神農    姜   (B)  神農は姜水に住んでいた
 舜     姚    (B)  舜は姚虚に住んでいた
 禹(夏)  姒    (A)  禹の母は薏苡(ヨクイ)を呑んで禹を生んだ(女+以→姒)
 契(商)   子(好) (A)  契の母簡狄は燕卵(子)を呑んで契を生んだ(女+子→好)
后稷(周)  姫    (A)  后稷の母姜原は巨人の足跡を踏んで后稷を生んだ(女+臣(巨)→姫)

>周代以前の姓の数はそれほど多くありません。だいたい30種ほどです。商王朝時代に文字が発明されてから約400年という長い時間があっても姓は増えていません。これは古代の人口がそれほど増加しなかったこと、人の移動(分家など)が多くなかったことがその理由だと思われます。
確かに、現代でも中国は姓が少ないですね。
>周王朝以前の古姓
嬀、姒、子、姞、姫、己、任、風、嬴、キ、羋、曹、ウン、董、姜、偃、帰、曼、熊、隗、添、允、姚、戈、庸、荀、嬉、儇、伊、酉

>さて、古姓には女偏がつくものが多いことに気づきます(上の一覧に7つあります)。これは古代中国が母系制社会であったことを示しています。古代の母系制社会は一妻多夫制でした。古代の聖人の名前が「女性始祖」+「神物」という形をとっているのも母系制社会の「母を知りて父を知らず」を示しているといえます。
なるほど母系制ってのは分かったけど、一妻多夫制ってホント?だろうか?
石塚正英氏のサイトから紹介すると、http://ccsimail.ccs.dendai.ac.jp/~ishizuka/b35.html [4]
>トーテミズムはトーテムすなわちある一つの氏族神――たいがいは生き物である――にまつわる儀礼ないし崇拝である。この氏族神は、トーテム獣および氏族内の女性たちの血を通して代々受け継がれる。したがって男たちは同一氏族内の女たちを避ける根拠をもっている。
彼らが同一氏族内の女たちと交わることは、すなわち神と交わることを意味する。それを根拠として近親婚が禁ぜられた。また、トーテムはそれを信仰する者にとってしか神聖ではないから、トーテムを異にする女たちとは交わっていい。そこで族外婚が始まったのである。しかし近親婚タブーにとって重要なのは禁止一般でなく、一部をそうすることにより、それ以外の異性との限りない性の開放を実現することだった。 近親婚タブーのもとにあって、ある集団の男たちはつねに別の集団に妻たちを求めることになる。いわゆる集団婚である。これは現代のような一夫一妻婚ではない。多夫多妻婚である。

原始共同体はボス集中婚だとして、以降は長江で稲作が最初に始まった事からも、比較的環境条件も良かった(外圧が低い)から、婚姻姓は集団婚に移行したと考えたほうが良さそうである。
皆さんは、どう思いますか?
 (by eto)

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